植物の効能を利用する

薬草としてのハーブ

ハーブは料理に使ったり香りを楽しんだりという香草としての役割のほかに、植物の効能を利用して治療に使う「薬草」としてのもう一つの顔があります。 「メディカルハーブ/Medicinal Herbs」と記載されている場合は、その中でもとくに薬効を期待して「薬草」として使われる種類を指しています。
日本で親しまれている東洋医学の漢方薬や中医薬でも薬草が使われますが、これももちろんメディカルハーブです。 ほかにもアーユルヴェーダ医学やチベット医学で使われるハーブ、ネイティブインディアンのハーブなど世界中でその土地に生息するハーブが今でも私たちの生活に息づいています。
民間薬や伝統医学として数千年の歴史を持つハーブは、日本で薬草が民間療法として使われているように、ヨーロッパでも古くから民間で役立てられてきました。英国では、現在もメディカルハーブ(薬草療法)が補足医療の一環として、家庭の伝統治療薬としてまた経験と知識豊かなハーブ治療家によって、私たちの健康を保つための予防薬として、また病気の時に利用する治療薬として使用され続けています。
メディカルハーブの中には薬効があるということで、確かに専門家・メディカルハーバリストの元でのみ取り扱いが必要なものも多いのですが(日本でいうところの漢方薬剤局で取り扱う種類のハーブ)、今現在、日本のハーブショップなどで出回っている多くのハーブ、カモミールやレモンバーム、リンデンなどは安全かつ取り扱いが簡単で体に優しい種類が多く、さまざまな体の不調に役立つハーブとして毎日の生活の中で気軽に楽しむことができます。
セルフケアとしてハーブショップなどからハーブを買われる方から専門家(メディカルハーバリスト)のもとでハーブ処方箋を受けている方まで、それぞれのニーズに合わせた利用法が幅ひろく存在しています。

ハーブに含まれる精油を用いるアロマセラピー
ハーブ(植物)に含まれる精油(エッセンシャルオイル)を使い、その香り精油の薬効を芳香浴やマッサージ、塗布など に役立てるセラピーです。精油成分が(皮膚/呼吸器系/経口/直腸/膣などから吸収)体に入ることにより、それぞれの持つ効能・薬理作用を持って私たちの心身のバランスの調整や心身の不調の回復や予防に役立ってくれます。

精油/エッセンシャルオイル
精油(エッセンシャルオイル)は、天然の揮発性の芳香成分を含む有機化合物で、各精油は構成成分によって香りや効能もことなってきます。 精油は、植物の花、葉、枝、根、果皮、種子、樹皮など、さまざまな部位から主に水蒸気蒸留法・圧搾法・有機溶剤法、そして、二酸化炭素抽出法などといった方法で抽出されます。 それぞれの芳香植物の香りの成分が植物そのものに含まれている時よりもぎゅっと(種類によっては100倍ほど)濃縮されていますので、基本の注意事項を必ず守って使用する事が必要となります。
今日では日本でも多くの精油会社の商品を見ることができるようになりましたが、品質のグレードはさまざまなのが実状です。アロマセラピー用として生産されているものばかりではなく、洗剤などの原料としてなど工業製品用に製造されているものも数多くあり、精油の中には合成やブレンドされたものも出回っています。 もちろんアロマセラピーやアロマティックメディスンに適したグレードの物も数多く、日本だけでなく海外市場でも流通していますので、自分の目でしっかりとその品質やグレードを確かめてご購入のうえご利用ください。

「精油の使用法」
「精油」は外用(希釈しての)使用が原則となります。希釈には通常、キャリアオイルと呼ばれる マッサージグレードの植物オイル(スィートアーモンド、サンフラワーオイル)などの他、部分塗布として精油ブレンド用のクリームや軟膏、お風呂用には精油ブレンド用のバスオイルやボディーソープ、シャンプーなどに使う事ができます。
希釈率は国や使用目的によって異なりますが、家庭で一般の大人の方が安全に使う場合の希釈率は以下の様になります。 

各精油メーカーのドロッパーによっても多少異なりますが、日本で売られている精油瓶のドロッパーは,0.05mlに対応していますので、精油1滴の量は0.05mlとして計算する事が多いです。(実際は精油によっては粘性などがあるので差異が出ます。海外メーカーの場合は20~26滴= 1mlといった計算をする事もあります)
また、海外や局所塗布そしてアロマティック メディスンといった使い方では、もう少し高濃度で希釈する場合もあります。

「精油の注意点」
・必ず希釈して使いましょう。
・専門科の指導が無い限り内服はしない事。
・妊娠授乳中・乳幼児への使用は注意が必要な場合や禁忌もあります。
・子供に精油を使用する際は希釈濃度も薄める必要性もでてきます。
・癲癇や喘息・高血圧などといった疾患やアルコール飲用前後の際に禁忌となる精油もあります。
・初めて使う精油はパッチテストを行う事をお勧めいたします。
・柑橘系など光感作作用のある精油もあるので、使用後数時間は直射日光を避けてください。
・使用後はしっかりと蓋を閉め冷暗所に保存し1年以内に使いきりましょう。
柑橘系など酸化しやすい精油は半年以内の使いきりを目安に。「香りが変わったな」と感じたら、お掃除などに利用しましょう。
・購入の際にはラベルをチェック!
 学名 生育地、蒸留地や蒸留年月などの表示、成分表を知ることができるものかどうか
・専門書やラベルを利用し各精油の注意事項を必ず読むこと

「アロマティックメディスン」
アロマティックメディスン Aromatic Medicineと呼ばれる治療グレードの精油を使い治療目的に使う使用法があります。 高濃度での皮膚への塗布、経口摂取、精油や芳香蒸留水(Aromatic water/Hydrosol)、精油入りの座薬(膣座薬、肛門座薬など)などのさまざまな適用方法での処方や時にはマッサージなどを含めたの施術を行います。 筋肉や関節痛みの軽減や感染、皮膚の炎症など、様々な不調の改善へ働きかけてくれる非常に効果の高いアロマティックメディスンですが、高濃度での精油の使用や経口などの使用も含まれるため、精油や解剖生理学の知識はもちろん、医学的知識も必要になってきます。 そして「精油」アロマティックメディスンを「治療の一環」として施術に取り入れる場合は、 国ごとにルールが異なります。
イギリスの例を挙げますと、治療の一環として植物由来のレメディーの処方が認めらてている「メディカルハーバリスト」は、「処方」 として 精油を含む経口摂取用のレメディーを製剤したり、内服用の芳香蒸留水を治療薬として患者に処方することができますが、メディカルハーバリストの資格や処方が出来る医療従事者の資格を持たない一般のアロマセラピストには、精油の経口摂取用製剤を処方したり、それを治療目的に使う事は認めらていません。
リエコ・大島・バークレーはメディカルハーバリスト学生時代の特別講座で初めてアロマティックメディスンを学んだ事がきっかけとなり、精油や芳香蒸留水の処方をハーブ治療やアロマセラピーの一環として取り入れ始めました。 ハーブだけでは症状の緩和が遅い時、皮膚症状や関節炎など外用のアプローチも必要とされる時など、数多くのケースにアロマティックメディスンを処方しています。

<リエコ・大島・バークレー著書>

英国流メディカルハーブ

『英国流メディカルハーブ』

説話社 (2008/9/27)

ハーブの薬箱

『ハーブの薬箱 英国流、

メディカルハーバリスト

からの提案』


文化出版局 (2013/5/31)

英国流メディカルハーブ電子書籍

『続・英国流メディカルハーブ』電子書籍版

説話社 (2014/1/20)